これまで、法学部クール系男子、現役パティシエ男子、サークル幹部系男子などさまざまな肩書の男子宅にお邪魔してきたが、ここで今回我々が訪問する男子の肩書を紹介したい。
“観光大使”である。
たぶん意味がわからなかったと思うので、もう一度言う。“観光大使”である。
今回応募してきたのは、「千葉県銚子(ちょうし)市の観光大使」なのである。応募メールに書かれたこのパワーワードを見た瞬間、筆者らは彼の自宅への訪問を即決せざるを得なかった。
なぜ大学生(22)が観光大使などという高位の肩書を有しているのか、「自称・最年少観光大使」が事実であれば、彼はいったいどのような部屋に住んでいるのか、気になって仕方なかったのである。
完全に彼の手のひらの上であることに悔しさを覚えながらも、筆者らは彼の住む家を目指し出発したのであった……
突入するのはこの2人!
サノ(筆者)
93年生まれのライター。肩書らしい肩書を持ったことがない普通の男。強いて言えば、高校時代テニス部で1年間“体操係”を務めた。
みさきさん
株式会社シューマツワーカーの広報担当を務めるかたわら、“現役レースクイーン”の肩書も持つ女性ライター。
突撃、「最年少観光大使」のお部屋
午後15時、指定の住所に到着。
ロケが1月に行われたため完全に冬仕様の二人だが、そこはやさしくスルーしていただいて、背後の建物に注目していただきたい。最年少観光大使の根城、見るからに高級そうである。
学生など6畳一間のアパートに住んでいるくらいがかわいいのに(偏見)、今我々の前にそびえ立っているのは明らかに学生レベルからは逸脱したオシャレな団地なのだ。一体どんな人生を送れば22歳でこの建物に住めるのか、わけがわからない。
その謎を解き明かすためにも、さっそく彼の待つ建物に入っていくことに。
動揺のあまりスライド式のドアを押す筆者。
外観やエントランスの時点でじゅうぶん圧倒されてしまった一行だったが、エレベーターで彼の階まで上がった先には……
のどかで静かで穏やかで、幸福度の高い高級団地ならではの景色が広がっていた。
きっと春の晴れた日の午後、ファミリーの幸せな笑い声が響く絶景スポットに違いない。
「えーー、最高じゃんか……」と無邪気に景色を楽しむ心の美しいみさきさん
空っぽの瞳でプレハブ小屋みたいだった学生時代のアパートを思い出す筆者
ここまで、すべてにおいて最高の環境が整っている観光大使の要塞。もはや無駄に張り合う気力すら削がれたそのとき、背後で扉が開く音がした。

爽やかながら落ち着いた表情、エネルギッシュかつ頼もしさを感じさせる佇まい。銚子市が誇る最年少観光大使は、ぐうの音も出ない好青年だった。
コミュ力の塊のような和泉君に明るく楽しく導かれるまま、ついに一行は彼の部屋に踏み込む。
そこに待っていたのは…


いやもう完全に子育てファミリーの家。

これがひとり暮らし学生(22)の家と言われて誰が信じられるだろうか。普通に外資系商社マン(28)が2児の子を育てる渋谷20万の物件と言われても疑わないだろう。筆者に外資系商社マンの知り合いはいないし、渋谷20万の物件など一度として見たことはないが、どうもそんな気がする。
部屋の広さはもちろんのこと、置いてあるアイテムもどことなくオトナな雰囲気を感じるものが多い。
ソファーやカーペットなど、予算面から失敗が許されない学生だとついつい無難な一色デザインに逃げてしまいがちなポイントでしっかりオシャレさを発揮している点はがっつり女子受けしていたし、
広めのベランダに松崎しげるが自宅の屋上で日光浴するときに座っていそうなアウトドアチェアが置いてあるのもなんだかオトナなかっこよさがあるし、
何より和泉君本人が率先して全員分のコーヒーを淹れてくれるめちゃくちゃよくできたオトナな子だったのだ。
どうしてこんな好条件の物件でオトナな優雅な暮らしができるのか、「最年少観光大使」の謎は深まるばかりなので、ここはストレートに聞いてみることに。



抜かりない「観光大使」の完璧すぎる部屋事情


その結果銚子電鉄が市に推薦状を書いてくださって、大使に任命された形ですね!
エピソードがすごすぎて笑っちゃうみさきさん

観光大使、けっこうお給料がいいとか…?(発想がゲスい)

ここは月8万円とちょっとお高めなんですけど……引っ越してきたのは去年の8月で、この春からは地域のPR活動に協力するNPO法人で社会人として働くので、学生の感覚より少し高いくらいのほうが頑張るモチベーションにもなるかなと思って選びました!

みさきさんの「付き合いてえ……」は毎回聞いている気がするが、たしかに和泉君は何を聞いても「立派な子ねぇ……」と心の中のおばあちゃんが微笑んでしまうような、「観光大使」の名に恥じない気持ちのいいパーフェクトな青年だった。
その後も、なんとか粗探しをしようと奮闘してみたものの、
壁のど真ん中で額に入れられやたら存在感を放っていたアニメ映画「打ち上げ花火、下から見るか、横から見るか?」のポスターについて聞けば、「じつはこの作品、ちょっとだけ銚子市が出てるんですよ!」と完璧なPRが待っていたし、
人目につきにくいだけについつい手を抜いてしまいがちな配線の整理も一切ぬかりはなく、

悪あがきで配線付近の掃除状況をチェックしてみたが、チリひとつ確認できなかった。
なんとか少しくらいはボロを見つけてみたいと思い、怪しげな女性の影や不潔感が出がちな水回りに足を運んでみるも……

女の影はおろか不潔さすらも一切感じることはなく、(むしろ「えっ、君んち乾燥機あるの?」という羨ましさで頭の中がいっぱいだった。筆者も欲しい)
トイレにもゴミ箱を用意する完璧っぷり。
なお、便座にも丁寧にシートが貼ってあった……が、これ実はNGなやつ!
というのも、第1弾のロケをした際、みさきさんが「便座シートは清潔さを保つのが難しいからむしろないほうがいい」と言っていたのだ!
すかさず「みさきさんみさきさん! これダメなやつでしたよね!?」と振り向いたところ、岬さんは「いや和泉くんはちゃんと替えてるに決まってんじゃん」とめちゃくちゃ冷めた顔でこちらを見ていた。
……家全体を清潔に保つことで「この人なら絶対洗っている」とみさきさんの信頼を獲得した、和泉くんの完全勝利である。完璧すぎる。ツッコミどころがなさすぎる。ここまで、完全に攻めあぐねている。
「完璧なだけでは、企画として盛り上がりに欠けてしまう……」筆者の胸に、そんな不安な気持ちが渦巻き始めた。
しかし。
ここまで3軒の男子部屋訪問をこなした筆者には、「部屋観察のプロ」としての目がメキメキと育ちつつあったらしい。
ここからは筆者が和泉君のボロを暴く怒涛の大逆転劇を繰り広げるので、後半戦もぜひお付き合いいただきたい。
和泉君のかわいいボロ①「じつはズボラ」








あっあとホラ!



和泉くん、さてはアナタ……


和泉君のかわいいボロ②「ちょっと演出しちゃう」
※写真右は編集担当



バンッ!!

この積まれ方、角度……どうも作為的なものを感じる気がするんですけど、本当は部屋のオシャレさを演出するために最近置いたものなんじゃありませんか!?




ババンッ!!


ガシッ……


これあれでしょ、『メモの魔力』で学んだことを実践するためのノートでしょ!? えらい! かわいい!

和泉君のかわいいボロ③「じつはほとんどのアイテムが……」


じつはこの家、ほとんどがお父さんが買ってきたアイテムで構成されているんです。


トイレのゴミ箱も、カレンダーも
ベッドルームの加湿器も


他にも「友達たくさん来るなら歯ブラシセットいっぱいあったほうがいいだろ?」とか「みんなで飲むならワイングラスいるだろ?」とか言って、お父さんが来るたびにどこかしらこの家が模様替えされていくんですよ(笑)。



でも、「一見めっちゃオトナっぽくて魅力的な部屋に見えてたのに、じつはお父さんが毎週ひとつずつアイテム置いていってくれていて……」って仲良しエピソードも、正直好感でしかない(笑)。
オトナの上品さと男の子らしいかわいいエピソードにあふれた、とっても素敵なお部屋だと思います!

・一人暮らしとは思えない部屋の広さと数。リビングとベッドルームがあるのは熱い
・アイテムのセンスや隅々まで清潔さが保たれている点から、オトナな魅力を感じる
・アイテムセレクトが仲良しパパのチョイスだったというエピソードもプラスでしかない
■みさきさんの“気になる……”ポイント
・「ベッドルームに自転車」はフォローのしようがない(ロードバイクが趣味だそうです)
・ゲームの電源つきっぱなしなど、実生活に影響するズボラさは少し気になる
・書籍が自己啓発・ビジネス書だけよりは、「ONE PIECE」「HUNTER×HUNTER」あたりも置いてくれたほうが安心する
終わりに
今回取材に協力してくれた和泉くんもまた、今までと同様に、隠しきれない魅力がたくさん詰まった素敵な男子だった。
そして彼の部屋もまた、観光大使としての地元への情熱がうかがえる映画ポスターや、お父さんとの仲の良さが伝わってくるアイテムの数々など、彼の魅力をそのまま表した素敵な空間だったのではないだろうか。
「人の部屋を観察していると、その人のことがわかってくる」というのは第1弾から感じていたことだが、このスキルはどうやら徐々に開花するらしい。みなさんも友達のお宅に何度か訪問すればこの感覚を共有できると思うんで、ぜひ挑戦してみてはいかがだろうか。さながらシャーロックホームズの気分になれるので、オススメだ。
筆者も今から、第5弾を実施できる日を心待ちにしたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
取材・編集/サノトモキ+プレスラボ
写真/藤原慶
今回応募をさせていただいた、銚子市観光大使の和泉(いずみ)です! 今日はよろしくお願いします!