引っ越しにあたって気になるのは「敷金ってどれくらい返ってくるの?」ということ。敷金は部屋を退去するときに戻ってくるお金ですが、部屋の修繕のために引かれてしまうこともあります。
引っ越しするときになって「ああ、部屋をもっと大事に使っておけば敷金がもっと返ってきたのに……」と残念な気持ちになるのは避けたいですよね。
一方で、本来は大家さんが負担すべき分まで払わされてトラブルになっている話も聞きます。正しい知識できちんと交渉すれば、しっかり敷金が戻ってくるのだとか。
敷金を損しないために注意するべきポイントをまとめました。
目次
借りた人に支払い義務が発生するのはどんなとき?

部屋を借りた人は退去するときに、「原状回復」(元のとおりに戻す)の必要がありますが、大事なポイントは、「借りたときとまったく同じに戻す必要は無い」ということ。つまり、「通常の生活による汚れは借りた人に責任はない」ということです。
では「通常」の範囲を超えて、借りた人に責任が発生するのはどのようなケースがあるのでしょうか。
■壁(クロス)
・ススなど通常の使用ではつかないような台所の油汚れ
・下地の張り替えが必要なくぎ穴
・たばこのヤニ(クリーニング除去不可の場合)を追記してください。
参考:http://leopalace21.custhelp.com/app/answers/detail/a_id/1021
■床・カーペット
・キャスター付きいすなどによるキズやへこみ
・引っ越し作業などによるひっかきキズ
・タバコなどによる床の焼け焦げ
■水回り
・掃除を怠ったことによって広がったカビなどの汚れ
つまり、上記のような汚れやキズが付かないようにすれば大丈夫ということです。詳しくは国土交通省や東京都がガイドラインを出しているので参考にするとよいでしょう。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000021.html
▼東京都都市整備局
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/juutaku_seisaku/tintai/310-3-jyuutaku.htm
借りた人の責任にならないのはどんなとき?

一方、借りた人の責任にならないケースにはどんなものがあるのでしょうか。
■壁(クロス)
・日照による変色
・ポスターなどを貼ったピンの跡
・エアコンを設置する際に開けたビス穴
・冷蔵庫の後ろの黒ずみ
■床・カーペット
・家具を置いたことによるへこみ
■その他
・特に破損していない畳の交換
・破損していない浴槽の交換
・通常使用の部屋のハウスクリーニング
これらは「通常の生活による汚れ」とみなされ、補修の必要はないとされているため、借りた人の責任にはならないようです。
また、壁のキズについても、壁掛け家具などを固定するための大きなクギはNGですが、ポスター程度のものを貼り付ける画鋲やピンくらいなら問題にならない場合もあります。
敷金が返ってくる暮らし方

■日々の掃除が大切
まずはこまめに部屋の掃除をすることが大事です。特に水回りの掃除はおっくうでも気づいたときにやっておいた方がよさそうです。基本的に普通に暮らしている分には問題が無いのですが、カビや限度を超えた油汚れなどは借りた人の責任になってしまいます。
■壁にかける収納や飾りはよく考えて
壁かけの棚や家具はおしゃれで賢い空間利用なのでやりたい人も多いかもしれませんが、大きなクギの跡が残ってしまうと修理責任が発生してしまう恐れがあります。なるべく控えた方がいいでしょう。
■キッチン以外で火を使う調理器具は注意
そして、通常の調理器具以外の火の使用も控えた方がいいでしょう。カセットコンロで鍋をするくらいは問題無いかもしれませんが、七輪でサンマを焼いたりするのはちょっとまずそうです。
もしも敷金でトラブルになってしまったら

必要以上に敷金を引かれそうになったり、修繕の責任などでトラブルになりそうなときは、まず専門家に相談してみましょう。国民生活センター、日本司法支援センター(法テラス)、行政書士会の「賃貸住宅問題相談センター」などで相談に乗ってくれます。契約書に書いてあってもガイドラインに反している場合は無効になることもあるので、まずは相談してみるとよいでしょう。
http://www.houterasu.or.jp/service/juukankyou/shikikin/
▼行政書士ADRセンター東京(東京都)
http://adr.tokyo-gyosei.or.jp/trouble/rentalhouse/
▼日本行政書士連合会(ADR機関)
https://www.gyosei.or.jp/activity/adr/
▼国民生活センター(消費者ホットライン)
http://www.kokusen.go.jp/map/index.html
「裁判にでもなったら余計にお金がかかるんじゃないの?」と思う人もいるかもしれませんが、「専門家に相談しました」と言って正しい知識で交渉することで大家さんもきちんと対応してくれることが多いようです。
まずはそんなトラブルが起こらないように、きちんと掃除をして大切にお部屋を使うことが大切ですね。