ひとり暮らし男子のお部屋拝見!Vol.5 表参道で暮らす「港区男子」の部屋が想像を超えて“東京のオアシス”だった




「ひとり暮らし男子のお部屋拝見!」企画がはじまってはや半年。ありがたいことに第5回まで続けさせていただいた本企画も、ついに今回をもって最終回を迎える。

これまで覗いてきた男子部屋、本当に十人十色でそれぞれの個性が光るほんとうに素敵なお宅ばかりだった。しかし、フィナーレを飾る男子は間違いなく今まで見たことのないタイプの部屋であることをここに宣言したい。

なにせ最後に応募してきてくれたのは……“「自称100点満点の部屋」に住む港区男子”なのだ。

念のため解説すると、「港区男子」とは、青山、赤坂、六本木など都内でもとりわけキラキラした街が集うエリア“港区”に住居をかまえる、高学歴・高収入を兼ね備えたハイスペック男子の総称である。

筆者も本物の港区男子にお会いしたことはないが、おそらく彼らはただ歩いているだけで半径10㎞圏内の金とモテをすべて吸い尽くしてしまうような、たぶんもうほとんど歩くブラックホールみたいな人たちだ。彼らが街に現れたが最後、後には何も残らないのだろう。

しかしこちとら半年かけて何軒もの男子部屋に突撃してきた“お部屋訪問スペシャリスト”としてのプライドがある。どれだけ港区男子が恐るべき異次元世界の住人であったとて、平然と淡々と彼らのひとり暮らし部屋の実態をあばききり、本企画に有終の美を飾って終わりたいと思う。

男たちの誇りをかけた最後の戦いが今、はじまろうとしていた……

突入するのはこの2人!

サノ(筆者)
93年生まれのライター。18歳で上京して以来都内でも極力田舎を感じられる町に住んできた男。港区男子は『ONE PIECE』の“天竜人”みたいな人たちをイメージしている。

 

ミサキさん
株式会社シューマツワーカーの広報担当を務めるかたわら“現役レースクイーン”の肩書も持つ女性ライター。一時期は港区男子とばかり遊んでいたが、サブカル系ファッションがウケなかったことを反省して今日は清楚系でロケにのぞむ。

真夏の表参道にて、いざ最後のロケへ

昼過ぎ、「港区へようこそ」と言わんばかりのシャレオツな小道に歓迎されながら、最後のロケへと歩みを進める一行。

一本隣りの大通りへ出れば高級店が立ち並ぶこの住宅街。さすがは港区、すべての建物がゴージャスで、どれだけ歩いていても目が飽きない。みさきさんが絵に描いたように憧れている姿が愛らしいが、筆者も内心今から訪問する男子部屋への期待を抑えきれなかった。

満を持して、目的の住所にたどりつくふたり。東京が誇る港区男子の根城、その住居がこちら!!!

「は?」

そこにはなんというか、まあ控えめに言って過去イチでボロいお宅が待ち受けていた。

散々イメージしてきた華やかなイメージは一切なく、港区にあってこの一角だけが昭和で時を止められてしまっているかのようだった。

「自称100点満点の部屋に住む港区男子」のイメージとはあまりにかけはなれているため正直動揺を隠しきれないが、ここで立ち止まるわけにもいかない。

鍵はかけていないので、いつでも来てください」と連絡をもらっていたので、緑生い茂る裏庭を恐る恐る進んでいくと…

建物の入り口から、上の階につづく階段を発見。どうやら、木造2階建ての賃貸アパートらしい。

軋む階段を一段上るたびに、「ここを自称100点とは…相当クセの強い家主が待っているぞ」と不安な気持ちが強くなっていった。

2階に上がると、計3つの部屋につながる廊下に出た。それぞれの部屋にそれぞれの家主が住んでいるらしく、どうやら一番奥のこげ茶色の扉の向こうに、件(くだん)の港区男子が待ち受けているようだ。

部屋の前に立ち、いよいよ突入というところで、筆者はふと左手を見上げ、あることを確信した。

あっ俺、住所間違えたわ。

さすがにこれはない。これで「100点満点の部屋に住む港区男子です」とプロフィールを送ってくるのはさすがにハートが強すぎる。筆者はきっと、最終回ゆえ力んで住所を間違えてしまったに違いない。

己の情けなさに苦笑しつつ、ここまで来てしまった手前、筆者は一応扉の向こうで生活している住人の方に声をかけた。

「あの~、ここって岡田さんのお宅じゃないですよね?」

岡田です。お待ちしていました。鍵は開いているので、どうぞご自由にお入りください。

完全に「注文の多い料理店」の世界観。

このあとは身体中に塩をまぶして家主に食われる展開が待っているに違いない。
宮沢賢治は我々人生の後輩がこういう状況を未然に避けられるよう警鐘を鳴らしてくれていたのだろうが、我々も曲がりなりにもお部屋訪問のプロなので、引き返すことはできない。

「賢治ごめん。俺たち、行ってくるよ。」

筆者らは覚悟を決め、本企画最後の大ボスが待ち受ける運命の扉を開いた。

満を持して、「港区男子」のお部屋に突入

そこで待っていたのは…

「……」

えっ、賢治?

そこには「圧倒的“昭和”感」を放つお部屋(あと家主も)が待っていた。どう考えても令和に生きる港区男子の家ではない。

それは単にこの部屋が和室だからという次元の話ではなく……

窓のカギも田舎のおばあちゃん家でしか見たことないタイプだし、

蛇口ハンドルもひと昔どころかふた昔くらい前の仕様。

そしてやたら低い位置で絶大な効果を発揮する旧式エアコンなどなど、この部屋、あらゆる設備が前時代の文明でストップしているのだ

そして何より家主の岡田さん…

「自室ごと令和にタイムスリップしてしまった宮沢賢治」にしか見えないのである。だってほら何か書いてるもん『風の又三郎』とか書いてるもん。

ガジェット周りはやたらと充実しているので現代の暮らしにもだいぶ馴染んできたようだが、果たしてどのようにして時を超えてきたのか、筆者は勇気を振り絞り「岡田さん」を名乗る青年に声をかける。

サノ
宮沢さん
岡田さん
岡田です
ミサキさん
ダメだサノさん前回に引き続きまーたポンコツ化してる……自分の世界に入りすぎなんだよこの人は。

岡田くんは普段、何をされてる方なんですか?

岡田さん
僕は、お笑いコンビ『なかよしビクトリーズ』の岡田康太……芸人です!

「自称100点満点の部屋に住む港区男子」の正体は、まさかのお笑い芸人だった。先ほど熱心に書いていたのも、『風の又三郎』ではなくお笑いのネタだったらしい。

もともとはお笑い事務所に所属していたものの、現在はフリーランスの芸人として精力的に活しており、なんとこの自宅もお客さんを招いて定期的にフリートークライブを開催しているライブ会場とのこと。

それもあってか、岡田くんのお部屋はそこかしこに「ネタ」が転がっていた。

まず、岡田くんの部屋、

冷蔵庫が3つある。

左はバイト先の先輩、真ん中は同棲していた元彼女、右は顔なじみのきれいな女優さんに「あげる」と言われ断れなかったらしい。押しに弱いにもほどがあるし、「冷蔵庫もらうって何?」という根本的な謎が深すぎて内容が全く頭に入ってこなかった。

また、きれいな女優さんは冷蔵庫にとどまらず、

オススメの小説をプレゼントしてくれたり、

さらにはわざわざオススメ本の紹介文まで書いてくれていたので、「これ完全に脈ありじゃない?」とみさきさんとふたり水を得た魚、タピオカを得たJKのような気分で恋愛トークに花を咲かせようとしたところ

本当に脈があるなら、脱毛エステの明細の裏には書かないと思うんですよね」と切なすぎる返答が返ってきた。

この他にも、

渡航履歴がブラジルとベネズエラとコロンビアのみのパスポートが出てきたかと思えば警察に違法ドラッグの密輸を疑われて取り調べを受けた話など、掘れば掘っただけ爆笑エピソードが待っており、岡田くんの部屋はもはや小さなお笑い劇場だった。

部屋に滲む、芸人としての熱い横顔

また、引き続き部屋を漁っていると、岡田くんの芸人としての熱くエモく真面目な一面が次々と浮かび上がってきた。

たとえば……

「子どものころからお笑いが好きだった」と引っ張り出してきてくれた卒業文集の1ページ

ミサキさん
わー岡田くん1位じゃん! エモすぎない…?
岡田さん
このころから学校で漫才やったりとかしてたんで…(笑)。

ちなみに2位の下村くんが今の相方です。

サノ
それはエモすぎるな……
こういう子ども時代の「一等賞」が、将来の夢につながったりするんだよねえ。最高……

こちらは「岡田なら何か面白いことをかましてくれる」という周囲のプレッシャーに圧し潰された結果爆死したという卒業アルバム。甘酸っぱい青春の擦り傷もエモくていい。

また、岡田くんの真面目な一面を象徴するアイテムとして…

ネタの種を見つけるべく毎日書いているという日記も出てきた。

ミサキさん
こうやって毎日言葉にしてるから、いざというときにパッとネタが出てくるんだ…

めちゃくちゃ努力家ですね

岡田さん
もう、これをこのまま写真に撮ってTwitterに貼って、ブログ代わりにしてます。

「そこに心が通っていないことが多いから、言葉だけを聞かないように、文字だけを見ないように、気をつけたいと思った」

サノ
ときどき宮沢賢治ばりにいいこと書いてるからみんなも要チェックだぞ。

その他、フリップ芸用にびっしり書かれたスケッチブックや

Twitterに投稿するイラストネタなど、部屋に残された努力の跡は数知れず。

はじめ建物を見たときは脳内に「エヴァンゲリオンのセカンドインパクト」クラスのファーストインパクトが広がったが(ややこしい)、部屋を見ていくうちに真面目で夢にひたむきな岡田くんに好感度が爆上がりしていくのを感じた。

最後のダメ押しは、

山のように出てくる自己啓発系の本たち。

とくに今はホリエモンこと堀江貴文さん、落合陽一の本が愛読書らしく、

ミサキさん
やっぱ男の子ってこういうの読むんですね。

というみさきさんの一言にめちゃくちゃ赤面していた。

しかし、「勉強してこなかったから本読んで今必死に取り戻してるんです。人を笑わせるにも知識は必要だから」と語る岡田くんは最高にかっこよかったし、知識という武器を手に入れ、さらにお笑いのステージを上げるべく多方面で努力を重ねているのが部屋から伝わってきて、心から応援したくなった。

そして、ここでついにみさきさんが、最終回の総評に入るべく、その口を開いた。

ミサキさん
たしかにここは……「100点満点の部屋」と言っていいのかも。
岡田さん
……!!!

「家賃」と「家主の幸福度」は、必ずしも比例しない

ミサキさん
とにかくこの部屋、完全に「小学校のころともだちの家に遊びにいってたあの感じ」なの。

最高に落ち着くし、いるだけでどんどんノスタルジックな気持ちになってきて、びっくりするくらい幸福度高い。

サノ
ああわかるわかる。村田ん家ね。
ミサキさん
知らねえよ。
正直外観を見たときは叩く気満々だったけど、汚さとかボロさとか狭さなんてまったく気にならないくらい、懐かしさで心が安らぐんだよね。
やっぱり中途半端なことせずに、昭和に振りきってるのがいいのかも。
岡田さん
じつはそれは、意識的にやってることなんです。
岡田さん
この机や座布団ももともとあったものじゃなく、あえて古いテイストのアイテムをニトリで探しました。

ついついベッドとかカーペットとか買ってちょっと現代っぽくしたり、洋風に近づけようとしたくなりがちですけど、この部屋には絶対合わないじゃないですか。

どうあがいても部屋自体が昭和なんだから、あえてアイテムも全部「昭和テイスト」で統一して、この部屋でしか作れない魅力に突き抜けたほうが居心地いいんじゃないかと。

寝るときもこのスタイル。「咳をしても一人」とか言ってそう

岡田さん
そもそもここはもう、生活スタイルから“昭和”なんです。

家賃の支払いも大家さんに手渡しして、この領収証に印鑑を押してもらう仕組みで。

今日見たなかで一番昭和を感じる1枚

岡田さん
ちなみに、お風呂も1階にある大家さんちのお風呂を借りるスタイルです。
一回につき100円を貯金箱に入れて、お邪魔させてもらってるんです。
サノ
「ほんといつの時代なの?」って感じだけど、ここまで振り切ってるとむしろ全部オシャレに思えてくるから不思議なんだよな……。
岡田さん
最初は僕も「マジか、住みたくねえ……」って本気で嫌だったんですけど、今では「めっちゃええやん!」って(笑)。

もう、心底100点満点です。だって落ち着きますやん。

ここ、家賃3万7000円なんですよ? 東京23区のなかでも「都心3区」と呼ばれる大都心地区・港区では最安クラスだと思います。
ここで暮らして、住まいってとくべつ高いところに住まなくても、工夫次第で全然幸せな空間にできるんだなあって思いました。

ミサキさん
「家賃」と「幸福度」は必ずしも比例しない、か……。
サノ
最高の締め、ありがとうございます!
また都会の暮らしに疲れたら、東京のオアシス・岡田邸に一休みしにきていいですか?
岡田さん
もちろんです! 基本家の鍵開けてるんで、いつでもフラっと立ち寄ってください!
サノ
いや鍵は普通にかけてほしい。

ちなみに取材後岡田さんが28歳で筆者より年上だったことが発覚しました。タメ口きいてしまって本当に申し訳ございませんでした。

終わりに

ついに最後のお部屋訪問が終わった。

岡田さんのお部屋は、家賃は安いし、オンボロだし、かつて見たことがないくらい狭くて(風呂トイレないし)昭和なお部屋だったけれど、「こんなお部屋も素敵だな」と思えたのは、岡田さんが全力でこの部屋を楽しんでいるようすが伝わってきたからだ。

これまで、家賃が高いお部屋、低いお部屋、本当にいろいろなお部屋を訪問してきたが、どの回を振り返っても、“お部屋の魅力”は、立地や建物の豪華さではなく、「家主がその部屋をどう作っているか」にすべて詰まっていたと思う。

この連載を通して、読者のみなさんが自分の部屋作りをもっと楽しめるようになったり、誰かのお宅にお邪魔するのが楽しみになったりしていたらとてもうれしい。

もし自慢したくなるような素敵なお部屋ができあがったら、サノとみさきさんを呼びつけてください。よろこんで馳せ参じます。

それではまた会う日まで!
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!

取材・編集/サノトモキ+プレスラボ
写真/藤原慶






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