中小企業がメンター制度を導入するメリット・デメリット




新入社員向けの研修制度を調べていたら「メンター制度」という仕組みを知ったけれど、OJTと何が違うのだろう?「メンター制度」に似た「エルダー制度」や「ブラザー制度」との違いとは?社員数300人の中小企業が導入する場合、どんなメリット・デメリットが考えられる?

「メンター制度」についてイチから知りたい人事・管理職の方に、メンター制度の基礎知識をご紹介します。

メンター制度とは?関連用語も解説!

「元気に仕事に取り組んでいると思っていた新入社員が、5月の大型連休が明けるころには暗い顔つきになって夏前には辞めてしまう。せっかく入社した期待の新人だったのに……」

若手社員のモチベーション向上施策を検討中の人事・管理職の方に紹介したい仕組みが「メンター制度」です。

メンター(mentor)制度とは、対象となる社員に対して、直属の上司や考課者、同じ部署や課の同僚である先輩社員以外に、毎日の業務にあたっての悩みや社会人生活全般の困りごとについてサポートする相談相手を用意するものです。

まずは、メンター制度について理解するための周辺用語について、基礎知識を確認しましょう。

「メンタリング」の定義

日本では「メンター制度」と呼ばれますが、もともと制度も含め「メンタリング(mentoring)」と言います。

通常、上司や先輩社員が指導や育成を担う役割を果たしますが、その場合は前提として「指揮命令系統」があります。この「指揮や命令」ではなく、メンター制度・メンタリングは、本人による「気づき」を促すためのサポートを行うパートナーを設定することです。

メンターとメンティーの関係

「メンター(mentor)」は、メンタリングを実施する先輩役・指導役を言います。それに対して、サポートされる側、例えば新入社員側のことを「メンティー(mentee)」と呼びます。

OJT、エルダー制度、ブラザー・シスター制度、プリセプター制度との違いは?

メンター制度について調べると、似たような仕組みの制度名があることに気が付きます。

それぞれの名称に厳密な定義はないため、運用の仕方と名称は各企業で異なる部分があります。ですが、メンター制度と比較されることが多い研修の仕組みについて、一般的な特徴を解説します。

OJT

OJT(On-the-Job Training)は、実際の業務にあたりながら上司や先輩社員が適宜必要な知識やアドバイスを提供する研修手法です。職務内容や企業規模を問わず、最も一般的に実施されている研修プログラムと言えます。

エルダー制度

エルダー (elder)はもともと英語の「年長者、年上」という意味の単語です。そのため、研修プログラムではない場合、ミドル・シニアと同じような意味合いで使われることもありますが、「エルダー制度」の場合は「年齢層が近い少し年上の先輩」を意味し、教育担当としてペアを組んで指導する制度を言います。

ブラザー・シスター制度

ブラザー・シスター制度は、定義としてはエルダー制度とほぼ同様です。共感を生みやすい同性の先輩社員とペアを組む場合にこちらの名称が使われることが多くなります。

プリセプター制度

主に看護・介護の業界におけるメンター制度のことを「プリセプター制度」と呼びます。

中小企業がメンター制度を導入するメリット

「わざわざメンター制度なんて名前を付けなくても、なんとなく社員全員の顔と名前は覚えられるし、その中で相性がいい先輩と後輩が自然に交流できれば問題ないのでは……?」

このような中小企業で、人事研修担当者がメンター制度を提案する場合、社内にメリットをきちんと提示し、自社に合ったメンター制度になるよう工夫しましょう。

メンター制度導入によるメリットには以下のようなものがあります。

・新入社員、若手社員の離職率低下に寄与する
・中堅社員のモチベーション向上に寄与する
・社員同士の交流促進を促す
・研修制度として採用PRにつながる
・部署間の業務理解を促す

中小企業がメンター制度を導入する課題と対応策

メンター制度を導入するうえで、社員数が少ない中小企業ならではのデメリット・課題をどのように解消するか、あらかじめ方策を考えることが重要です。よくあるケースにどのように対応すればよいのか、その一例をご紹介します。

そもそもメンター候補となる人材がいない

「新入社員が毎年たくさん入社するような会社はともかく、ウチみたいな規模の会社だと新入社員が配属になるのも数年おきだし、場合によっては若手社員なんて一人もいないような事業所もあるから、メンター制度を導入するのは難しい」

マンパワーの調整は大きな課題です。日常業務に支障が出ないことは当然配慮しなければなりません。

【対策:外部リソースを活用する】
メンターは必ずしも「社内のリソース」でなければならないというわけではありません。キャリアコンサルタントや臨床心理士など、信頼関係構築のトレーニングを受けた外部の専門家を活用する方法もあります。

現場スタッフの反発が大きい

「それでなくてもウチの部署は忙しい!なぜよその部署の新人のためにウチの課員が動かなければならない?」

部署によって繁忙期が異なったり、そもそも新入社員が配属されない部署があったりします。
特定の部署に偏らず、「メンターになること自体にモチベーションを感じる」人選が必要です。

【対策:強制しない】
メンター制度はメンター・メンティー双方の「信頼関係」があることが大前提です。お互いの価値観によって、一方的に組み合わせをつくってもうまくいかないこともあります。

その場合は、「業務時間外の相談にも応じることが可能なメンターを手当てで支援する制度」を設けるのもひとつの方法。個人単位の活動を会社として支援する形で、「メンターは苦手」という社員に負荷をかけない方法を模索してみてはいかがでしょうか。

メンターが不安定である可能性

「もうすぐ転職先を決めて辞めようと思っているのに、メンターになることを指示されてしまった。どうしよう……」

メンターがすぐに離職してしまった、というケースは悪い影響を生み出しかねません。離職率が高めの企業の場合、その対策も必要です。

【対策:新入社員にメンターを選んでもらう】
入社して数か月は、常に一緒に仕事をすることになる上司や先輩社員との関係構築をするだけで精一杯、というケースもあり得ます。また、多くのケースで、メンターは一定期間継続して対話を重ねることが前提となっていますが、モチベーションの向上には「話したことのなかった人から受ける刺激」も有効です。

入社直後の何もわからない状態でメンターを付けるのではなく、入社半年後など、ある程度社内の人間関係を把握した段階で、年齢や性別・経験部署などメンティーが話を聞きたいと思えるメンターをそのタイミングごとに指名するという方法です。

まとめ

メンター制度の大前提は「信頼関係の構築」です。日常業務をこなすためのノウハウやコツではない「会社にまつわる人間関係の悩み」や「将来に対する不安」を信頼関係のない人と共有したいとは、メンティー側だけでなくメンター側も思わないでしょう。

制度を導入する際は「自社のリソースであれば、どのようなきっかけを提供すればより信頼関係を結ぶきっかけがつくれるだろうか」という視点が不可欠です。






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