タレントマネジメント理論を中小企業で取り入れるファーストステップとは?




自社の人材マネジメントの方向性を検討する人事採用担当者や、経営者が押さえておきたい関連キーワードのひとつに「タレントマネジメント」があります。

「タレントマネジメント」は文脈によっては異なる意味を持つこともありますが、一般的に使われる定義やその成り立ち、中小企業がタレントマネジメントを検討する際に知っておきたい基礎的な知識をご紹介します。

タレントマネジメントとは?

タレントマネジメント(Talent Management)とは、「人材に関する管理技法」についての理論のひとつです。

人材確保や人材マネジメントの成否は、企業経営に大きな影響を与えるものです。組織の目標達成のために高いパフォーマンスを発揮できる人材を、どのようにマネジメントするかという方法論が研究されてきました。

タレントマネジメントの「タレント(talent)」とは、日本語に訳すると「才能、素質」にあたる言葉です。つまり能力やスキル・経験や経歴など業務に関する情報をできるだけ多く集め、その情報を戦略的に管理していくことを指します。

どんな情報をどのように集めるか、集めた情報をどのように管理し、人材戦略にどう反映するのか。その一連の流れが、タレントマネジメントなのです。

DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用したタレントマネジメント

タレントマネジメントがここまで浸透した背景には、DX(デジタルトランスフォーメーション)が関係しています。それまでは評価者の感覚や記憶に頼っていた個々の情報を「データ化」し、科学的な裏付けをもって人事管理を進めるべく、DXを活用したシステムが登場したのです。

すべての従業員をデータベース化し、人事戦略の策定サポートから、研修や評価・予算管理まで一元管理できるとあって、このシステムは業種や従業員規模を問わず支持が広がっています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?中小企業のバックオフィス担当者が知っておきたい基礎知識

2021.04.26

タレントマネジメントと人事理論発展の流れ

そもそも、タレントマネジメントが求められる背景とはどのようなものだったのでしょうか。

タレントマネジメントという概念が広がったきっかけは、2001年のマッキンゼー・アンド・カンパニーの報告書「The War for Talent」だと言われています。同書では、急速なグローバル化・IT化に対応できる人材が不足すると指摘。優秀な才能(タレント)を持つ人材を採用・育成し、環境の変化によって目まぐるしく変化する「必要なポジション」に配置、最高のパフォーマンスを発揮させることに焦点を当てたものです。

近年は、いわゆる人種や文化的多様性を認めて年齢や性別による差別を禁止し、採用・評価・報酬に平等な機会を提供する「ダイバーシティマネジメント」の必要性が叫ばれています。それと同時に、「特別な才能」が必要なポジションを担う人材をいかに発掘するかという、相反するニーズがあるのです。

日本スタイルの「全社員型タレントマネジメント」と欧米スタイルの「選別型タレントマネジメント」

タレントマネジメントが最初に提唱された欧米のグローバル企業のケースでは、「突出した能力を持つ人材を、一部の重要なポジションに配する」ためのマネジメント手法として出発しました。

それに対して、日本企業では特定のポジションを担う「タレンティッドな人材」限定ではなく、「全社員型」ともいえるタレントマネジメントシステムを導入するケースもあります。

グローバル化、IT化だけでなく、「少子高齢化」というもう一つの社会変化の影響が強い日本では、長期のライフプラン設計や変化する業務内容に対応できるリスキリング(再教育)も、人材マネジメントの在り方の課題となっている背景があるのです。

「全社員型タレントマネジメント」を導入した実例

「全社員型タレントマネジメント」を導入した企業の実例があります。創業当時から「人」を大切にしてきたエピソードを多数持つサントリーホールディングスでは、M&Aなどで急激にグローバル化と組織規模の拡大が進みました。

その環境下で取り入れたタレントマネジメントでも、グループの一体感を損なうことなく「長期的な人材育成」が図れるよう、「全社員型タレントマネジメント」を掲げています。

そのなかで注目すべきは、「自ら手を挙げてキャリアをつかみ取る機会」の拡充です。理念として広く社会にも認知されている言葉「やってみなはれ」を体現する仕組みづくりに取り組んでいるのです。

「タレント開発」を企業側から押し付けるのではなく、従業員が自発的に取り組むためにはどうすればよいか、自社に置き換えて考えるヒントとなるのではないでしょうか。

タレントマネジメントは目的を達成するための手段

タレントマネジメント導入の是非は、あくまでもその企業の「達成すべき目標」に対してどのような人材が必要かという点であり、すべての企業の業績がタレントマネジメントで向上するという安直な仕組みではありません。具体的に、どのようなケースでタレントマネジメントシステム導入が効果的か、課題例を紹介します。

若手人材の中から将来の経営幹部候補を見つけ出したい

経営層が「主観によらない人材情報データ」を直接参考にできるタレントマネジメントは、これまでの評価者による評価では発見できなかった次世代リーダーに適合する人材を見つけやすくなるというメリットがあります。

新規事業を任せられるメンバー構成を検討したい

従業員ひとり一人の過去の実績は申し分ないにもかかわらず、せっかく各部署から集めた精鋭部隊が思ったような結果を出せずに、新規事業が停滞してしまう……。このようなケースは珍しいことではありません。「組織としてのパフォーマンス」をデータから検討することもタレントマネジメントの役割です。

リモートワークでの評価精度を向上させたい

これまでは「同じフロア、同じ島のデスク」でお互いの仕事ぶりを感覚的に把握できていたけれど、普段の仕事ぶりが見えないリモートワークでは、部下の評価を適切にできているか自信がない……こんな管理職をサポートする評価システムに組み込むことも可能です。

まとめ

あらゆる変化のスピードが加速度的に上がり続けている現在、「求める人材の要件」「設定した経営課題」もその影響を免れません。「必要な時に必要な人材を確保すればいい」という発想では、人材獲得競争に出遅れてしまうことをすでに実感としてお持ちの方も多いのではないでしょうか。

自社の社員を能力強化し、企業とともに成長していくために、まずは経営と人事部門が人材要件についてオープンに話し合うことが、タレントマネジメント実践に取り組む第一歩ではないでしょうか。






この記事をシェア!

レオパレス21でお部屋探しレオパレス21でお部屋探し