リカレント教育に企業はどのように取り組むべき?現状把握と先進事例を紹介!




教育は、学生が学ぶものだけではありません。長い職業人生を送るうえで、学び直しの機会が必要だと考える企業や社会人が増えています。そのような「社会人の学び直し=リカレント教育」を提供する教育現場や、協力支援する企業、国の支援などについて最新情報を紹介します。

実は歴史のある概念!「リカレント教育」とは?

ここ数年、研修教育会社のセールスで「リカレント教育」という言葉をよく聞くようになったと、感じる人も多いのではないでしょうか。安倍首相(当時)が議長を務め、2018年に宣言された「人生100年時代構想会議・人づくり改革基本構想」で、リカレント教育が「生産性革命を実現するうえで重要なカギとなる」と取り上げられたことがきっかけの一つと考えられます。

リカレント教育=学び直し

このなかで、教育訓練給付金の拡充、リカレント教育の産学連携、中途採用の拡大という3つの方向性が明示されました。「新卒一括採用から定年までの終身雇用」という昭和型のキャリアステップから脱却し、自律的なキャリアを歩むために必須ともいえるのが「学び直し=リカレント(recurrent:再発する・周期的に起こる)教育」です。

しかし、リカレント教育という言葉そのものが生まれたのは、最近の話ではありません。

「リカレント教育」という言葉は1973年にすでに出ていた

1973年にOECD(経済協力開発機構)が出した報告書「リカレント教育─生涯学習のための戦略」タイトルにすでに出てきた言葉であり、日本国内でも1992年に文部科学省答申「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」で用いられています。

リカレント教育の概念は、早くから使われていたにも関わらず、従来型の「大人が子どもに施す」教育の在り方だけにとどまっていたのは、社会的な機運の盛り上がりに欠けていたことが理由の一つではないでしょうか。

今、その「社会的機運」が超高齢化社会への突入、働き方改革、ITによる産業の変化などさまざまな要因に影響され、一気に押し上げられているように感じます。

企業がリカレント教育に期待することとは?

従来型の実務に直結する社員教育、研修制度とリカレント教育は何が違うのでしょうか。

従来型社員教育は、業務に直結する知識をつけるために、業務時間内に実施されるものであることが基本です。一方、リカレント教育は個人のキャリアアップとキャリアチェンジに重点を置き、専門的かつ実践的な学びを繰り返すことを指します。

「人生100年時代」「AI社会の到来」が叫ばれるなか、雇用する企業側からも転職や復職、起業など、変化に対応できる人材を求める声が一層高まっています。

「社内だけで発揮できるスキルや能力」ではなく、変革を成し遂げられる人材を輩出する手段として、具体的にどのようなリカレント教育プログラムを企業は期待しているのでしょうか。日本経済団体連合会「大学等が実施するリカレント教育に関するアンケート調査」から紹介します。

▶︎問:多様な機関との連携によるリカレント教育のうち、特に大学等が実施するリカレント教育プログラムの強み(評価しているポイント)、社員を受講させるプログラムに強く期待することは何ですか

実務に直接役に立つ専門知識や、最先端の知識習得に期待を寄せている一方、各種資格の取得については低い回答となっています。

▶︎問:専門的な知識としては、大学等でどのような専攻分野やレベルのものを学ぶことを期待しますか。

IT技術や統計、情報はもちろん、金融系や広報、マーケティング系など、幅広い分野を学士課程と同等のレベルで学ぶことが期待されています。

出典:一般社団法人 日本経済団体連合会「大学等が実施するリカレント教育に関するアンケート調査」

リカレント教育に取り組む大学の事例

実際に各大学で、どのようなリカレント教育が用意されているのでしょうか。それぞれの大学の特色や魅力を活かして、リカレント教育に取り組もうとする事例をピックアップしました。

・東京理科大学オープンカレッジ「ビジネス講座」
社会人が業務に支障なく受講できる時間帯や、オンライン授業の拡充が求められているニーズに応え、オンラインと会場型のハイブリッドスタイルで、178もの講座を用意しています。

東京理科大オープンカレッジ「ビジネス講座」

・東京大学未来ビジョン研究センター「戦略タスクフォースリーダー養成プログラム」
「大学の知見を統合するネットワーク・ハブ、また、社会と大学をつなぐプラットフォーム機能の強化」のため、東京大学が2019年4月に設置しました。
ここで実施されている「戦略タスクフォースリーダー養成プログラム」は、企業の戦略企画部門の幹部候補マネジャーなどを対象としています。

東京大学未来ビジョン研究センター

・岐阜大学人工知能研究推進センター
主にAI、IoT、データサイエンス人材を、地域企業と連携して輩出するための研究拠点として2019年に設立されました。特徴的なのは、企業からの相談内容に合わせてコーディネーターがコンテンツや提供方法を提案するリカレント教育であることです。

岐阜大学人工知能研究推進センター

文部科学省・経済産業省・内閣府・国の支援策とは?

リカレント教育は、国を挙げての取り組みになりつつあります。リカレント教育支援や広報について、どのように取り組んでいるか、幅広い関係省庁の事業や取り組みの一部を紹介します。

・就職氷河期世代にむけたリカレント教育について、専修学校への支援事業(文部科学省)
「新たなステージで求められる能力・スキルを身につける機会」を効果的に提供するプログラム開発のため、専修学校と企業の提携やeラーニング講座の開発を支援するプロジェクト

・非正規、失業者、若者の就職・転職支援事業(文部科学省)
非正規の職員・従業員のキャリアアップにつながるプログラム開発・環境整備に取り組む大学を支援する事業

・「イノベーション人材」輩出のためのリカレント基本計画(経済産業省)
企業主体で、戦略的なリカレント教育をどう進めるべきか、審議会での有識者議論を実施

・リカレント教育についての広報施策(内閣府)
リカレント教育について、政府広報番組で30分の特集が組まれる

出典:
令和2年度「専修学校リカレント教育総合推進プロジェクト」
就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事業について
経済産業省 産業技術環境局「イノベーション創出のためのリカレント教育」
政府広報オンライン「BS朝日 社会人の学び・リカレント教育」テレビ放送

まとめ

リカレント教育は

1、生活の糧を得るための基本的な知識の習得支援
2、より高いレベルでの社会参画を実現する技術獲得支援
3、文化的な教養を身に着けるための満足度向上支援

という3つの分野に分けて考えることができます。

このうち、イノベーションを求める企業がリカレント教育に期待しているのは②の「より高いレベルでの社会参画ができる学び直し」です。技術革新が進み、変化のスピードが速くなればなるほど、「学び直し」の重要度は増していきます。今こそ、リカレント教育との関わり方を模索するべきタイミングといえるのかもしれません。






この記事をシェア!

レオパレス21でお部屋探しレオパレス21でお部屋探し