企業がとるべきLGBTへの理解とアウティング防止策




ダイバーシティの一環として、LGBT(性的少数者)の働きやすさに取り組む姿勢が、社会と企業に求められています。法律上でも、職場でのハラスメント防止に必要な措置を講じることが事業主の義務となりました。

LGBTであることを理由とした差別やハラスメント、アウティングと呼ばれる、本人の同意なしに第三者に性的指向や性自認を暴露することを防止するために必要な基礎知識を紹介します。

LGBTとは?アウティングとは?定義を確認しよう

「セクシャルハラスメント(セクハラ)」について、「男性が女性に対してする性的な嫌がらせ」と誤解しているケースがあります。

そもそも、セクハラは対象の性別を限定するものではありません。自分自身の性的な欲求を向けているかいないかにかかわらず、性に関する話題は周囲の誰かを傷つけてしまうかもしれない、それがセクハラに該当するのかもしれないと考える必要があります。

例えば、「好みの女性のタイプは?」と聞く、「あの人は〇〇では?」と他人のことを憶測で話すといったことで、「働きにくさ」を感じてしまう場合があるのです。

「どのような言動がハラスメントにあたるのか」職場全体で共通認識を持つことが大切なのです。

特に、LGBTをはじめとした性的マイノリティへの理解は人によって大きな差があります。理解にあたって最低限必要な、言葉の定義から確認しましょう。

LGBTとは?

4つのセクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の頭文字をとった言葉です。

L=レズビアン(女性同性愛者)
G=ゲイ(男性同性愛者)
B=バイセクシュアル(両性愛者)
T=トランスジェンダー(出生時に決められた身体的性とは異なる性を生きる人)

セクシャル・マイノリティを表現する言葉は、これ以外にも多く存在します。それだけ性自認や性的指向は多様なのです。一方的・記号的に当てはめることがないように、理解することが必要です。

SOGIとは?

SOGIとは、Sexual Orientation(性的指向)とGender Identity(性自認)の頭文字をとったもので、「ソジ」または「ソギ」と読みます。LGBTはトランスジェンダーやバイセクシャルなど、「誰」かを指すのに対して、SOGIはすべての人に関わる言葉です。

Sexual Orientation(性的指向)とは、恋愛や性愛がどのような対象に向かうのかを示す概念です。単に「その対象はどちらの性に向かうか」ということにとどまらず、そもそも恋愛対象がない、または人ではないという方もいます。

Gender Identity(性自認)とは、自分の性をどのように認識し、どのようなアイデンティティ(性同一性)を持っているか、という概念です。

アウティングとは?

性自認(自分の性をどのように認識しているか)、性的指向(性的な興味関心の方向)を本人の同意なしに第三者に暴露する行為です。

どちらも極めて個人的な情報であり、それについて興味本位で話題にすることそのものがハラスメントに該当します。

同級生から性的指向をアウティングされた後、校舎から転落死した大学院生の遺族が大学と同級生に対して起こした裁判がありました。大学側に落ち度はなかったと判断されましたが、この控訴審判決のなかでアウティングに関して初めて不法行為と言及されました。

また、性的指向を上司から同僚にアウティングされ、精神疾患になったことで労災申請が出るなど、この問題について声が上がりつつあります。ですが一方で、性的少数者への理解はまだまだ十分とは言えない現状が上記のケースからも浮き彫りになっていいるのがわかります。

LGBTへの差別に限らず、さまざまなハラスメント対策が事業主の義務化に

2020年6月施行の改正労働施策総合推進法(通称パワハラ防止法)によって、職場におけるハラスメント防止措置が事業主の義務となりました。(※ただし、中小企業では経過措置として2022年4月1日からの義務化となり、それまでは努力義務として規定されます。)

そのなかに、LGBTへの侮蔑的な言動やアウティングに関しての規定が含まれています。

【精神的な攻撃】人格を否定するような言動を行う。相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を含む。
【個の侵害】労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露する

ポイントは、パワハラ防止法では「事業者の責務」だけでなく「労働者の責務」も同時に求めていることです。事業主・労働者共通の責務として、ハラスメントを行ってはならないことについて関心と理解を深め、ほかの労働者に対する言動に注意を払うことが求められています。

・事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
・相談体制の整備と周知
・ハラスメントが起こってしまった場合の迅速かつ適切な対応
・相談した人に対する不利益な扱いの禁止

この大きな4つの項目の「義務化」について、早急な対応が必要です。

出典:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」
都道府県労働局 雇用環境・均等部 リーフレット

全社員に理解を促進する具体的な取り組みを知ろう

LGBTに限らず、より多様性のある組織、ダイバーシティを重視する組織が積極的に取り組む「プラスアルファ」の取り組み具体例をピックアップしました。

具体的な取り組みを共有することで、社員全員の理解を促進しましょう。

・旧姓、希望の名乗りなどの通称名の使用を認める
・制服又は服装規定に男女区分がない
・男女ともに利用可能なトイレがある
・従業員が使う更衣室に性的少数者への配慮がある
・集団受診による健康診断の実施に性的少数者への配慮がある
・事実婚のカップルへの家族手当の適用がある
・事実婚のカップルへの慶弔休暇制度の適用がある
・相談窓口を用意している、外部の相談窓口と提携している
・社内にマイノリティのコミュニティがある
・取引先や就職中の学生に対するハラスメント防止策を講じている

出典:厚生労働省委託事業 職場におけるダイバーシティ推進事業企業アンケート調査結果

まとめ

「職場にLGBTの人はいないから、そもそも問題は起こらない」と考える人がいるなら、その認識こそがLGBTへの理解に欠けた状態といえるかもしれません。性自認や性的指向は個人的な情報であり、職場で公開されて当然のものではないからです。

マイノリティにもマジョリティにも「自分が自然にありたい状態で、安心して過ごせる環境」を目標として、よりよい職場環境となるように、義務化対応を進めていきましょう。

ダイバーシティ&インクルージョンに取り組む人事のための基礎知識

2021.02.10





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