「職場で喫煙」法律違反かも?企業がとるべき受動喫煙防止対策




食後の一服のために灰皿のある給湯室に行ったら、先客の上司とその場で打ち合わせが始まって…。こんな昭和の光景が、まだ職場に残っていたら要注意です。

2020年4月1日から全面施行された「改正健康増進法」によって、望まない受動喫煙を防止することは、マナーからルールへと変わりました。人事労務担当者が知っておきたい「職場の受動喫煙防止対策」について紹介します。

職場の喫煙を取り巻く環境

まずは喫煙を取り巻く、現在の環境から確認しましょう。

喫煙率は減少の一途をたどっている

令和元年の「国民健康・栄養調査」によると、20歳以上の喫煙者の割合は男性27.1%、女性7.6%です。10年前の平成21年時点では男性38.2%、女性10.9%でした。男性は約10ポイント下がり、男女合計の喫煙者の割合は16.7%と2割を切っています。

世の中の流れとして、「喫煙者が少数派の社会」という方向に進んでいることは明らかです。

出典:厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査より喫煙の状況」

企業の「非喫煙者の受動喫煙対策」の現状

フィリップ モリス ジャパン合同会社が実施した「職場の喫煙対策に関するアンケート」によると、「非喫煙者の受動喫煙対策」について、67.4%が「すでに取り組んでいる」と回答しています。

一方で、取り組みができていない企業もあり、理由は以下の通りです。

・具体的な対策がわからない
・時間とコストの懸念がある
・社内のコンセンサスが取れなかった

これらの課題をクリアし、改正健康増進法に対応するための基礎知識を確認しましょう。

「改正健康増進法」と「受動喫煙防止条例」

会社内で、「2020年4月から施行というが、違反だからと数年前に職場の灰皿が撤去されている」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は、国の「健康増進法」よりも前に、東京都などの地方自治体が策定した条例によって、地域ごとに異なる決まりが設けられてきました。それが「受動喫煙防止条例」です。2010年4月に神奈川県が先駆けて、罰則付きの受動喫煙防止条例を制定しました。

この「法令」と「条例」は意味が異なるので、ここで「法令」と「条例」の言葉の意味を確認しましょう。

法令とは…国会が制定する「法律」と国の行政機関が制定する「命令」
条例とは…地方自治体の議会の議決によって制定される「自治立法」

つまり受動喫煙防止条例では、すべての自治体が対象になったわけではなく、改正健康増進法ではじめて対象が「全国」になったということになります。

また、健康増進法に上乗せしてより厳しい条件を定めている自治体もあります。その場合はその条件に準じた環境を用意しなければなりません。くわしい内容は各自治体に確認しましょう。

改正健康増進法が求めることとは?

それでは、改正健康増進法によって求められる内容について確認していきましょう。これらは、「企業の事業所」に限らず、飲食店や公共施設なども含めた、すべての「多数の人が利用する施設」に共通して求められます。

・屋内の原則禁煙
・20歳未満の喫煙エリア立ち入り禁止
・屋内の喫煙は喫煙室の設置が必要
・喫煙室の技術的な基準
・喫煙室には標識掲示が義務付けられる
・義務違反時の指導、命令、罰則

出典:厚生労働省「なくそう!望まない受動喫煙」

改正健康増進法を順守するための企業の取組みや対応策

実際に改正健康増進法を順守するために、企業が行なっている取り組みや、喫煙者と非喫煙者への対応策を見ていきましょう。

企業の取組み例

企業で受動喫煙防止策を取り組んでいるところもあります。

例えば、就業規則で就業時間中の喫煙自体を禁止し、事業所内に喫煙所を用意しないという方法です。別の企業では、採用の時点で応募資格を「非喫煙者であること(喫煙者の場合、入社までに禁煙を誓約すること)」と限定しているところもあるのです。

喫煙者と非喫煙者への対応策

先ほどの「職場の喫煙対策に関するアンケート」によると、受動喫煙対策の取り組みができていない理由に「具体的な対策がわからない」「時間とコストに懸念がある」などがあげられていました。ここでは、事業者がするべき対応策を紹介します。

基準に適合する喫煙所を用意する

事業所内に喫煙所を設ける場合、たばこの煙が流出しないように、以下の通り定められた基準を守った喫煙所を用意します。この喫煙専用室では、飲食をすることはできません。

・出入口において室外から室内に流入する空気の気流が0.2m毎秒以上であること
・たばこの煙(蒸気を含む)が室内から室外に流出しないよう、壁、天井等によって区画されていること
・たばこの煙が屋外又は外部に排気されていること

喫煙専用室や、屋外喫煙所以外の区域の全面禁煙を実施する中小企業が新たに基準を満たした喫煙専用室などを用意する場合、工事費や設備費などを上限100万円、50%まで助成する「受動喫煙防止対策助成金」があります。

くわしい情報は厚生労働省の「受動喫煙防止対策助成金」のご案内をご覧ください。

加熱式たばこへの切り替え推奨

「加熱式たばこ専用喫煙室」を設けることで、喫煙室の中での飲食が認められるようになります。加熱式たばことは、たばこ葉を燃やした煙ではなく、低温加熱して発生する蒸気(たばこベイパー)を利用した喫煙具です。煙や灰が出ないため、周囲への配慮がしやすいと人気があります。

前出の「職場の喫煙対策に関するアンケート」によると、喫煙による副流煙対策の1つとして、過半数を超える53.5%の企業が「今後も喫煙を続ける社員に対し加熱式たばこへの切替えを推奨し、加熱式たばこ専用スペースを設置すること」を検討しています。

ただし、この「加熱式たばこ専用喫煙室での飲食の許可」は経過措置であるため(時期は未定)、いずれ完全な喫煙室へ移行しないといけないでしょう。

禁煙治療への補助

健康保険組合などで導入事例が多数あるのが、禁煙治療費用を補助し、従業員の禁煙成功を促すものです。会社の健康保険組合の補助以外にも、市区町村で「禁煙治療費助成事業」を実施しているケースがあります。

まとめ

「今までは灰皿ひとつ用意するだけだったのに、基準に適合する喫煙所を整備するには費用がかさむ」とお悩みの事業者向けに、整備費の助成制度「受動喫煙防止助成金」や来訪型の相談支援、たばこの煙の濃度を測定するための機器の貸し出しなど、さまざまな支援制度が用意されています。

愛煙家の従業員の意見もくみ取りながら、具体的な受動喫煙防止策に取り組みましょう。






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