複数の内定承諾する学生が増えている?コロナ禍での採用環境の変化と学生に寄り添う企業の工夫とは




「10月1日の内定式には、学生の入社意志はしっかりと固まっている」
そんな採用担当者の認識とは、異なる意識を持つ学生が増えつつあります。さらには、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響もあり、入社をめぐる学生の意識変化については、例年通りの状況把握では足りないかもしれません。

今回は採用環境における変化と、学生と採用担当者の意識のズレを埋めるために、今から企業として取り組める工夫をご紹介します。

辞退者は減っている?コロナ禍での採用環境の変化

新卒採用において、内定を辞退する人が1人も発生しないというのは、レアなケースです。内定辞退にどう対応するかは、企業規模や採用人数に関わらず、多くの採用担当者が頭を悩ませる課題ではないでしょうか。

さらに2020年は、コロナ禍で例年とは採用の手法やスケジュールが大きく変わったため、辞退者の数について、より想定しにくい状況となっています。

まずは、「企業の採用状況」から確認していきましょう。

キャリタス就活を運営する株式会社ディスコが実施した「新卒採用に関する企業調査」では、「内定辞退者数・選考段階での辞退者数」についての増減を集計しています。

※『株式会社ディスコ 新卒採用に関する企業調査(2020年7月調査)「2021年卒・新卒採用に関する企業調査-中間調査」』を基に作成

・選考段階での辞退者が「増えた」という企業:19.5%

・選考段階での辞退者が「減った」という企業:28.5%

出典元:株式会社ディスコ 新卒採用に関する企業調査(2020年7月調査)「2021年卒・新卒採用に関する企業調査-中間調査」

2021年卒の採用では、選考段階での辞退者が「減った」という企業が「増えた」企業を9ポイント上回っています。前年の調査と比較すると、増減が逆転した数字となっています。

内定段階での辞者数についても、「増えた」が15.4%でした。前年については、辞退者が「増えた」という企業が30.2%もいたのに対して、2021年卒の採用では大幅に減っているのがわかります。その一方で、「減った」という企業は前年26.2%から3.3ポイント増の29.5%でした。この項目については、業種による差がより大きく出ています。

調査時点での内定辞退が前年よりも減った理由は、以下の2点が考えられます。

・採用選考が一時中断した影響で、まだすべての選考が終わっていない大手企業がある

・例年より採用予定数が少なく、学生1人当たりの内定数が少ない可能性がある

そして、コロナ禍ならではの理由として「早期に辞退しない学生」が増えていると考えられます。

「活動は終了したが複数内定保持」が増加

「早期に辞退しない学生」とは、「就職活動自体は終了したが、複数の内定を保持している学生」を意味し、以下のような調査結果が出ています。

※『株式会社ディスコ キャリタスリサーチ キャリタス就活 2021 学生モニター調査結果(2020年8月発行)「8月1日時点の就職活動調査」』を基に作成

8月1日現在の内定状況:活動は終了したが複数内定保持 4.3%(前年3.0%)


出典元:株式会社ディスコ キャリタスリサーチ キャリタス就活 2021 学生モニター調査結果(2020年8月発行)「8月1日時点の就職活動調査」

数字だけを見ると、全体からはまだまだ少数派ではあるものの、複数の内定を長期間にわたって保持する学生は増えています。

なぜ、学生たちは複数の企業に内定承諾をしようと考えているのでしょうか。その理由は以下の3つです。

※『「複数社の内定承諾や意思決定時期に関する21卒就活生の実態調査レポート」(2020年7月調査)』を基に作成

「どの内定先が自分にあっているか決め手に欠けるから」:48.4%

「不景気による内定の取り消しが不安だから」:45.1%

「選考スケジュールがずれていて、複数承諾せざるを得ないから」:41.8%

「その他」:1.6%

出典元:株式会社MyRefer「複数社の内定承諾や意思決定時期に関する21卒就活生の実態調査レポート」(2020年7月調査)

複数の企業に内定承諾する理由について、どれも「学生の優柔不断さ」と捉える人もいるかもしれません。ですが、一概にそうとばかりは言い切れない現状となっていることも確かです。その背景について、詳しくみていきましょう。

「内定取り消しが怖い」という学生の声に、キャリアセンターも悩む対応


インターネットで「内定辞退の方法」と検索すると、多くのサイトでは「内定辞退は民法上、入社2週間前までなら可能」と回答しています。

内定を複数保持することを否定できないキャリアセンターの気持ち

また、学内のキャリアセンターでも「安易に複数の内定を保持することは他の学生にも迷惑をかけるから、できるだけ早めに結論を出そうね」と声かけはするものの、複数の内定を保持することを絶対的に否定はしないでしょう。

その理由として、キャリアセンターは学生の「内定の取り消しがあったらどうしよう」という不安や、また「長く働く会社を決めるのだから、しっかりと見極めてから決めたい」といった将来への期待に、できるだけ寄り添いたいと考えるからです。

コロナ禍によって先輩社員との交流の機会が減っている

また、コロナ禍での採用活動では、内定者が集まる機会が減少しています。

上述した「8月1日時点の就職活動調査」によると、2020年8月上旬時点では2021年卒者の「内定者集合があった」という回答は40.3%で、前年の同時期における46.5%を下回っています。しかも、「内定者集合」には、オンライン形式での開催も多く含まれているのが現状です。

もちろん、オンラインでも情報提供は可能です。ですが、コミュニケーションの機会としては制限されたものになってしまいます。例えばオフラインであれば、連絡先を交換して入社前に個人的なコミュニケーションをとって内定者同士の親交を深めたりできます。また、オフラインの内定式ではよくある「内定式後の任意参加の打ち上げ」などなども開催されない為、多くの先輩社員と会話をする機会が少なくなってしまいます。

学生の持つ不安を安心へと変える取り組みが重要

また、「内定者研修があったのですが、そこで他の内定者と交流してみて、他社に行くことを決めました」または、「内定式で内定者全員の顔を見てから決めたいと思います」といったケースは、コロナ禍以前からありました。

では、いっそのこと入社まで内定者同士のコミュニケーションをとらないようにすればいいか?というと、そうではありません。「本当にこの会社で働けるのだろうか」という学生の不安をさらにあおってしまうことになるかもしれないためです。

コロナ禍においての採用環境は、「本当にこの会社の内定でよいのか?」と学生の持つ不安を安心へと変えられる機会が、企業にはより求められているのです。

コロナ禍でも実施できる取り組み


学生の不安を解消するための対策としては、以下のような取り組みを検討してみてはいかがでしょうか。

・オンラインプログラムでは、内定者同士のコミュニケーションが取れる機会を早期に設ける。

・入社後の「準備」をしっかり進める会社だと認識してもらえるよう、配属予定の上司からのメッセージや、借り上げ社宅についての情報、入社後の研修スケジュールなど、友人と比較したときに「私の内定先は十分な情報提供に努めている」と実感できるようなコミュニケーションをとる。

・感染症対策を十分に施したうえで、長距離の移動を伴わない範囲内で、エリアごとに内定者集合を実施する。

学生とのリアルな接点が急激に減少した21年卒採用ですが、それでもインターンシップの時期にはしっかりとコミュニケーションをとって、動機形成ができていました。

21年卒の学生への内定式後やこれから始まる22年卒採用に向けて、どのようにして内定辞退の防止に取り組むか、早期に検討が必要です。

まとめ

学生と採用担当者だけでなく、学生の家族や学校の就職担当者も含めて、多くの関係者が、先の見通せない不安を抱えているのが現状です。

例年とは違う考え・行動をするのが当然であると意識を切り替えて、不安に向き合う姿勢を見せていくことが企業に求められているのかもしれません。






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